ソフトコンピューティングとは?
ソフトコンピューティングとは、複雑・膨大で、あいまいな情報や知識を、人間主体で、人間の立場から取り扱おうとする、柔らかで、しなやかな新しい情報技術体系のことである。ここでのコンピューティングという用語は、ただ単に計算を意味するのではなく、情報や知識に対する考え方や理念、情報処理のための技術やシステム、人間や社会におけるインターフェースや価値観等を含む大きな科学技術体系を意味している。その特徴は、従来の厳密な数学的体系に基づく科学技術をハードコンピューティングと呼ぶとすると、ソフトコンピューティングは、あいまいで複雑な現実の現象そのものを対象にし、人間が行うような柔軟な取り扱いをし、その中にゆるい数理的、論理的な構造を見出し、そしてハードコンピューティングとの橋渡しをするところにある。ここでの主体はあくまでも人間の立場、現実の立場、総合的な立場に置かれているところに特徴がある。
思想的には、ソフトコンピューティングは、従来の科学技術が主として従って来た指導原理である還元主義のみではなく、現実の複雑であいまいな現象そのものが実体であると考えて、人間主体に、統一的、総合的なアプローチを行い、その中に数理的な構造を見出し、細部から全体を構成しいていくハードコンピューティングとの間を橋渡しするところに有る。すなわち、客観と主観、ミクロとマクロとの両者を考慮した学問であり、思想を持った技術、技術に裏打ちされた思想ということが出来る。
ソフトコンピューティングを必要とする分野は非常に多く、「知」に関連した横断的な学問である。例えば、人間とコンピュータとの橋渡し、言葉の意味と実体との橋渡し、諸概念との相互関係、複雑・大量データからの意味抽出、言語・音声・画像等のマルチメディア情報の融合、人間の高度な知識のコンピュータでの取扱い、高度情報通信環境下におけるにおける人間社会、脳の構造と生物の情報処理、生理学と心理学との橋渡し、変動する複雑環境下での生物の振る舞い、論理世界と実世界とを結び付け,等々である。このように,ソフトコンピューティングは,目的オリエンテッドに、情報を総合的に取扱いながら各種の技術を融合して使う,記号論理と数値情報との橋渡しをする次世代の知能実現パラダイムなのである。
これまで、ソフトコンピューティングは、あいまい情報を取り扱うファジィ理論、複雑環境下での最適解の探索を行うGA(遺伝的アルゴリズム)、ランダムな大量データを取り扱う確率・統計論、与えられたデータから学習を行うニューラルネットワーク、人間は本質的な幅を持った認識しか出来ないということに基づくラフ集合等々、幾つかの考え方が提出されているが、今だ、学問的には統一的な体系化はなされていない。また、各種の現実問題に個別に適用されているが、その成果の真の特徴は明確になっていないし、知識の交流もおこなわれていないのが現状である。
ソフトコンピュ−ティングの応用分野:
これまで,ソフトコンピューティングの技術は,ファジィとソフトコンピューティング ハンドブックに見るように,診断・評価,計測・制御,言語,心理,医療,教育,ロボティクス,ファジィ画像処理,建築,システム最適設計,スケジューリング,信頼性工学,家電製品,自動車等々の多くの分野に応用されてきているが,今後は,
・インターネット上の情報の集約、要約、検索、音声との相互変換
・インターネット上の機密保護、セキュリティ
・カオス現象のシステム理論、通信・信号理論への応用
・DNAやゲノム情報等のバイオインフォマティクス
・日常言語コンピューティング
・理解しやすい形での要約された情報の表示
・データからの知識獲得
等々,知的情報処理,概念情報処理,知識抽出,データマイニング等への応用が期待されている。
ソフトコンピューティング技法と関連分野:
・ファジィ理論
・ニューラルネットワーク
・進化アルゴリズム
・ラフ集合
・カオス
・フラクタル
・人工生命
・人工知能
・シミュレーテッドアニーリング
・タブーサーチ
・機械学習
・近似推論
・確率推論
・自律分散システム
・バーチャルリアリティ
・知的インターフェイス
・マルチエージェントシステム
・感性工学
・脳科学
・複雑系科学
・知能ロボット
・確率論
・数理統計学
参考:
情報融合の本質はファジィにある!
(1)講演資料 (2)パワーポイント資料
「FUZZYの思想」
(1)講演要旨 (2)講演記録
ファジィとソフトコンピューティング ハンドブック